読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

MOVIE LOVERS' PLACE

映画の感想などを綴っていきます。

ガス・ヴァン・サント監督『追憶の森』の感想<途中からネタバレあり>

こんにちは。

 

 

先日、劇場で『追憶の森』を観てきました。日本での公開は4月29日です。

 

 

この映画、すんごく面白かったです。泣いた泣いた。(劇場ではカッコ悪いので家に帰ってからです)

 

 

f:id:motoko1077:20160506133557j:plain

 

 

監督はガス・ヴァン・サントです。『グッドウィルハンティング』『ミルク』などが有名ですね。

 

 

movielovers.hatenablog.com

 

 

また主演はマシュー・マコノヒーです。イケメンのイメージが強かったのですが、『ダラスバイヤーズクラブ』で見せた演技がすごすぎて自分の中では「実力派俳優」にいまやカテゴライズされてます。

 

 

また日本の俳優で渡辺謙さんが出演されています。謙さんさすがです\(^o^)/日本の誇り!!!

 

 

ざっくりしたストーリーは、あるアメリカ人男性が人生に失望し、人生を終わらせるために日本の富士の樹海にやってきます。そこで出会った日本人男性と樹海を散策するうちに、彼の過去が明らかになり・・・といった感じです。

 

 

www.youtube.com

 

予告もありました。謙さん渋カッコイイ!!!

 

 

<ここから先ネタバレ注意!!!!>

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、この映画ですが、マシューマコノヒー演じるアーサーは仕事が上手くいかないことや奥様を亡くしたことが原因で自殺を決意します。そしてインターネットで"the best place to die"と検索したら出てきた富士の樹海にいくために日本に片道航空券でやってきます。

 

 

そこで渡辺謙演じるナカムラタクミと出会います。すでに重傷を追っていたタクミをた助けようとするうちに、アーサーはだんだん生き延びることを選び始めます。

 

 

結論から言うとナカムラタクミは、実在する人間ではなく、この森に住んでいる精霊でした。それもある特定の霊ではなく、富士の樹海で亡くなったありとあらゆる魂を代表する霊です。ちょうど木が集合して森になるように、魂が代表してタクミが存在しています。

 

 

富士の樹海には世界中から自死志願者が集まります。そのためタクミは英語も話せるし、アメリカのテレビ番組のディスカバリーチャンネルもみたことがあります。また妻と娘の名前はフユとキイロで、現代人ではないことが明らかです。また現代人が知らないような古い日本語の歌を歌っていて、地域や時代にばらつきがある人物であることが読み取れます。

 

 

アーサーの妻は生前から常に怒っている女性で、アーサーとの結婚生活も決して平穏なものではありませんでした。特にアーサーが職場の女性と浮気をしてからは、二人の中はさらに険悪になります。妻の希望もあり職場を辞め、収入が減ったアーサー。そのことに対し常に不満を口にし、アルコール依存症に陥る妻。

 

 

実は妻は病気にかかっており、脳の前頭葉に腫瘍ができていたのでした。そのことが原因で自己の怒りのコントロールが難しくなったり、アルコールに対して理性で我慢することが難しくなっていたのですね。前頭葉は脳の司令塔と言われています。そこが圧迫されていたためにアーサーに対しても怒りっぽくなっていたのです。

 

 

妻の病気が発覚してからというもの、やっとお互いに本音で接することができるようになってきたアーサーと妻。長年の冷えた関係が少しづつ雪解けに向かいます。二人は何よりもまず妻が生きていることに感謝します。そして辛い手術にも耐えたのち、腫瘍が陽性であったことを医師に告げられ感謝する夫妻。もうこのへんからウルウルになってしまいました。

 

 

入院先の病院に移るために救急車で移動中に、不慮の事故に巻き込まれて妻はなくなってしまいます。せっかく病気を克服できると思っていたところだったのに・・天国から地獄にアーサーは一気に落とされます。

 

 

そして樹海にたどり着き、妻が処方されていた薬を大量に飲んでフラフラしているところにタクミにあったのでした。なんの薬かははっきり分かりませんが、大量に服用したことで一種の幻覚症状に陥りタクミが見えていた可能性もありますね。

 

 

そして重傷を負うタクミを助けるべく、アーサーは樹海の出口を求めてタクミと森を進みます。もともと死ぬつもりだったため軽装で来たアーサーにとってそれはもうサバイバルで、何度も死にそうになるものの何とか生き延びます。崖から落ちてアーサーの腹部に木の枝がささった時も、タクミが駆けつけて抜いてくれました。実際は自分で抜いたのですが、アーサーには常にタクミが見えています。そしてそのことが彼に生きる希望を与え、鼓舞し続けます。

 

 

おそらくタクミが居なかったからアーサーは死んでいたでしょう。なくなった奥様がタクミをやったという解釈もできます。

 

 

まだ死にたくないと思い、必死に病に立ち向かうも、不慮の事故で亡くなった妻。富士の樹海で遭難し、何度も死にかけるも助かるアーサー。そこには人間には死ぬ運命も生きる運命もあり、本人がどうすることもできないという監督からのメッセージも感じられます。

 

 

生前にもっと妻を大切にすればよかった、そしてもっと素直に接すれば良かったと後悔して涙するアーサー。ここも劇場でのウルウルポイントその2でした。自分の責任を強く感じ、失望したアーサーを救ってくれたのは、タクミの存在でした。救出されたあとに監視カメラの映像からはタクミのような人物は森に入っていなかった、と係員に告げられたアーサーは確認するために再度森に行きます。そこでタクミにあげたはずのコート(生前に妻にもらったもの)の下に、花が咲いているのを見つけ、アーサーは全てを理解します。

 

 

日本古来の八百万の神、富士の樹海の魂の代表である精霊、惜しくもなくなってしまった妻の霊、そして運命を司る神。その全ての声を代表する存在がタクミで、タクミのおかげで生き延びた自分。そのメッセージを理解し、与えられた命に感謝し、再度生きて行くことを決意するアーサー。妻への後悔を感じているからこそ、一人残されながらも強く生きて行くことを選んだのです。このへんのストーリーがもう感動しっぱなしです。

 

 

脚本も日本語英語混じりで、かなり凝っていました。また登場する日本人も、実は韓国人や中国人・・・ということもなくちゃんとリアリティーのあるキャスティングで話に入り込みやすかったです。

 

 

強いていうならばラストのヘンゼルとグレーテルの絵本とキイロとフユの謎解きは、そこまでやらなくても良かったかな・・タクミが実は実在しない人物で、森で花が咲いていたってだけで十分でした。ちょっと絵本のあたりからやりすぎ感が出てたんですよね。そこまで説明しなくてもいいよ!って感じがしました。あまり説明されるとなんかもったいなく感じちゃうんですよ。これは個人の好みもありますが。

 

 

映画の中でタクミが言い間違えて『ヘンゼルとグレーテル』を『ハンサムとグレーテル』と言ってアーサーが笑うシーンは和みました。アーサーがイケメンだからこそのギャグですね。英語だと"Hansel and Gretel"なので、"Hansel"と"handsome"の音が似ているということですね。カタカナだとハンサムとヘンゼルで、あまり言い間違えない気がするので日本人的には?ですが。

 

 

いま自分の周りにいてくれる人に感謝したくなる映画です^ ^